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第1号裁判員裁判のからくり

仙台で24日に行われた「今 裁判がおそろしい」という市民集会の報告です。
この集会大変興味深い話がいくつも出ました。

まず今回は元共同通信の記者で同志社大学の教授であり、ジャーナリストでもある浅野健一さんのお話から裁判員裁判についてです。

この裁判員制度についてはほとんど権力側の思惑通りに事態が進んでいて、官僚裁判から感情裁判になっただけと思っています。

検察の求刑通りの判決がこんなに出るとは、検察もほくそ笑んでいることでしょう。

さて浅野さんは8月に東京で行われた全国初の裁判員裁判は大きなからくりとヤラセがあったといいます。

まずは当時を伝える新聞記事です。

初の裁判員裁判、8月3日から 東京地裁、審理日程決まる2009年6月12日 全国初の裁判員裁判となる公算が大きい東京の女性刺殺事件で、無職藤井勝吉被告(72)の公判前整理手続きが12日、東京地裁であり、初公判を8月3日とする審理日程が正式に決まった。初公判に呼び出す裁判員候補100人も選定。(共同通信)


初の裁判員裁判が開廷…東京地裁
 国民が裁判官とともに判決を決める裁判員裁判の第一号事件の選任手続きが3日午前、東京地裁で始まり、裁判員候補者47人が手続きに参加した。
 抽選などを経て、午前10時38分、全国初の裁判員6人と補充裁判員3人が選任された。公判は午後から開廷。刑事裁判に国民の社会常識を反映させるために導入された新制度が動き始めた。
 被告は、東京都足立区で今年5月、韓国籍の整体師文春子さん(当時66歳)を刺殺したとして殺人罪で起訴された無職藤井勝吉被告(72)。
YOMIURI ON LINE 8月3日より


初の裁判員裁判、懲役15年…東京地裁判決
 全国初の裁判員裁判となった東京都足立区の路上殺人事件で、東京地裁(秋葉康弘裁判長)は6日、殺人罪に問われた無職藤井勝吉被告(72)に懲役15年(求刑・懲役16年)の実刑判決を言い渡した。
 この日の公判は午後2時38分、裁判官3人と裁判員6人が出席して始まり、秋葉裁判長が藤井被告を証言台の前に立たせ、判決の主文を告げた。
 裁判官3人と裁判員6人は6日午前、刑の重さなどを決める最終評議に臨んでいた。3日から5日まで連続して行われた審理には、被害者参加制度に基づいて殺害された整体師・文春子さん(当時66歳)の遺族も参加し、「最低でも懲役20年」の刑を求めていた。
(YOMIUI ON LINE 8月6日より)


こういった記事からでは伝わってこないいろいろな話があるようです。

まず裁判員裁判の対象事件となりそうな4月から5月にかけての起訴件数は過去5年間の起訴件数のおよそ半数だったそうです。裁判員裁判になるのを避けて起訴を見送ったのでしょうか?不思議です。

また「東京の弁護士たちは第1号裁判員裁判の国選弁護人に裁判員制度反対派がつかないように気を配ったという」ということでした。

「最高裁は第1号事件を東京地検で行い、死刑事件や否認事件も避けることは決まっていた」そうで、さらに「覚せい剤事案だと成田空港を抱えうる千葉県などになる可能性も高く、被害者もいない事件なので第一号事件からは外した」そうです。

結局、足立区の事件が選ばれました。

浅野さんはこの裁判員裁判の後、被告人のFさんに面会に行ったそうです。Fさんは「控訴審ではまともな裁判をやってほしい」と願っていたそうです。

それはなぜなのか?

「自分自身は傷害致死たと思って取り調べでも『殺意はなかった』とずっと言っていた」と。しかし「こんなことを言われたのでカッとなって刺したといっても裁判員の心証が悪くなるだけだ」と弁護士にも言われ、殺意を認めることになったそうです。

裁判員裁判だったため、被害者の落ち度を弁護側は訴えることができなかったようです。

例えば「被害者は駐車場の前にバイクを止めたりという嫌がらせをして、車を入れないようにしていた。Fさんもわざわざ駐車場を他に借りたりして無駄な料駐車料金を年間21万円も払っていたりしていた。二人の間は口論が絶えなかった。他の人もこの被害者の行動で駐車場に止めることができなく、他に駐車場を借りていた」

被害の当日、口論になった際、被害者がFさんを罵るために言った言葉も封印されました。

その言葉は「お前みたいな敗戦国民のクセにえらそうなこと言うな」。被害者の方は在日の方だったので外交問題になるとこの言葉は伝えられませんでした。

浅野さんはこう問題点を指摘します。

「彼は生活保護を受けていた。『敗戦国民が国から生活保護受けているお前は人間のクズだ』見たいな事を言われたわけです。それは近所の人はみんな聞いている。マスコミも近所取材して聞いている。だけど最高裁、マスコミ、検察、弁護士などの権力がこの『敗戦国民』という言葉を消して『○○○○と言われてカッとなった』としたそうです。弁護士に聞いたら、「『外交問題になる』というのが当局側の見解だった」。私たちもあえて出す必要がないと考えた。しかし私はあえて出す必要があったと思う。というのは傷害致死なのか殺人なのか、大きな境目がこの一言だと思う」



浅野健一氏

当時の新聞には裁判員を批判する記事はほとんど見当たりません。みなさん市民を讃えています。これ「お国のために頑張った」ということなのでしょうか?

どっちか一方に記事が流れるとき、ものすごく危険を感じます。

以下のような記事が代表的な論調でした。怖い怖い。



裁判員初判決 定着へ試行錯誤重ねて
2009年8月8日

 見たり聞いたりする裁判から参加する裁判へ、日本の刑事司法は様変わりのスタートを切った。市民が犯罪や刑罰を主体的に考える社会にするためにも、検証と試行錯誤を重ねて定着させたい。

 東京地裁の裁判員裁判第一号は順調に終わった。周到な準備と配慮が実り、「お上頼りの国民性」「裁判官主導になる」などの懸念はとりあえず杞憂(きゆう)に終わった。

 法廷で裁判員は活発に質問、捜査段階の供述調書と法廷供述の矛盾を突く鋭い質問もあった。記者会見では「以前から知り合いのような感覚で意見交換できた」「難しかったが皆と成し遂げた」など、殺人という重大犯罪を裁いて責任を果たした充実感が語られた。

 人生や犯罪、刑罰などについて深く考えた裁判員もいた。

 懲役十五年の判決を「裁判官裁判より重い」と見る人が多い。しかし、隣人に突然ナイフを振るったことに対する市民の反応として重く受け止めるべきだろう。

東京新聞より
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