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裁判員制度は魔女裁判?

クサナギ君の事件ははたして逮捕までされるような悪質なものだったのか?「公然わいせつ」でどうして家宅捜査までするのか?法の下の平等ということに照らせば、警察はこれからめちゃくちゃ忙しくなるんだろうなぁと。

しかも頭からジャンバーをかぶせるなどの措置も取らず、引き回しの絵を取らせるあたり重罪人の扱いです。「公然わいせつ」というのはきっと僕が考えている以上に重罪なんだなと認識を新たにしました。

そういえば、二階経済産業相の捜査はどうなっているんだろう。これも時効ということでいえば5月くらいに時効をむかえる案件じゃなかったっっけ?

などなどこの国の警察・検察のますますのご活躍に頭が下がる今日この頃です。

この勢いで裁判員制度になだれ込むんでしょうか。そして事前の思想調査で「クサナギ君逮捕は正しい!」と支持する方々だけが裁判員になるという現実がそこにはあるのでしょうか。

裁判員制度のための「踏み絵」を用意してくれたのかな?とも思います。


さて「裁判員制度でえん罪はなくなるのか」シンポジウムの続きです

前回のブログはこちらです

関東学院大学の宮本弘典教授(刑法)のお話で興味深かったところを再録させてもらいます。

宮本教授は刑法、刑法史の研究をされているそうです。魔女裁判の検証なども研究テーマだということです。

まずは、宮本教授はこう切り出しました。

「捜査側は否認調書は作らない。少なくとも刑事裁判の証拠として提出することはしないということはいえると思います。断片的な話になりますが検察警察側は強制的な権力を持って証拠を集めることができますが、被告人弁護側はそういった証拠集めはできません。ということは検察官が手持ちの証拠を本来はすべて開示すべきなんです。そうするとこれはおかしいじゃないかと発見する可能性もある」

松川事件ではアリバイ証言をずっと検察側が隠していたということも起こっています。

松川事件
1949年8月17日、午前3時9分頃、福島県松川町を通過中だった東北本線上り列車が、突如脱線転覆するという事件。死者3名。捜査当局は、強引な取調べで自白を強要、労働組合員ら20名を逮捕、起訴する。第一審は検察側の主張をほぼ認めた形で5人を「死刑」、5人を「無期懲役」、10人を有期の懲役とし、全員有罪の判決を下した。控訴審の仙台高裁は検察側主張の一部を否認し3人の無実を認めたが、他の17人に関しては死刑4人を含む有罪判決だった。ところが、「実行犯」として一審・二審で死刑判決を受けた佐藤一さんのアリバイを証明するメモを検察は捜査段階から手元に置いて隠匿していたことが発覚。最高裁で差し戻し、無罪が確定した。
―参考:狭山事件・最新情報HP



こういった取調べと魔女裁判の取調べはそっくりだといいます。

「魔女審問官の取調べ過程とそっくりなんですね。身柄拘束というところから裁判が始まるわけですが、何度も何度も取調べをするんです、取調べをする段階で、良心的な取調官は取り調べのはじめから拷問をするなんてことはしません。

良心的な取調官も被告人が否認をしている間は何も書かないんです。『お前は悪魔に魂を売っているに違いない。そこから救われる機会を今私たちはお前に与えようとしているんだ。十分に考えろ』といって牢獄に戻すんですね。『十分考えろ、十分考えろ』といって牢獄に戻しているうちに短い人だったら2日か3日、長い人でも1年か2年ではいてしまう。その1年か2年の間に風聞が立つわけです。

『あそこのおばあちゃんはずっと牢獄に入ったままでてこない、やっぱり魔女だったのね』後からのうわさが立つ、その後からのうわさがまた証拠にされてしまいます。

結局、有罪判決が出てくる、その裁判の方式というのが壮大な儀式でした。あらかじめ作られた調書を裁判官が読み上げるというカタチで公判が進められていきます。判決言い渡しも再びその自白調書を読み上げて、『したがって被告人は死刑』というかたちで進行する。

公開されるのは判決言い渡しの日だけです。それ以外はすべて密室で行われます。最終日に自白調書を読み上げて被告人にこう聞くんです。『これで相違ないか』これは被告人にとって自白を翻す最後のチャンスです。が、それも大体、翻ることなくおわったようです。というのも当時の著名な法典に『被告人の自白の翻し、あるいは否認が正義を妨げるための時間稼ぎと認められる場合には…』という条文があります。

したがってたいていはその条文によって、被告人が自白を翻したとしてもそれが有効に認められることがなかったというのが魔女裁判の方式だったわけです」

戦時刑事特別法という法律が戦時中に制定されたそうです。
これは戦争で裁判どころじゃないので「有罪認定を簡略化していいですよ」という法律だったそうです。

「なぜこの自白が信用できるのか、通常、証拠評価の理由を判決理由の中に書かなければいけないわけですが、戦時刑事特別法は心証形成について採用した証拠を挙げておけばいいという形にしました。これが戦後も温存されてしまう。現在でも裁判官は証拠評価の詳細については判決理由の中にかかなくていい。つまり『彼が犯人であることはA証言により明らかである』と書けばいい。『なぜA証言が信用できるのか』は書く必要がない。これが現在の日本の刑事裁判です」

この心証形成にいたるプロセスを明らかにしない裁判員裁判が従来の刑事裁判をなんら変えるものではないといいます。

さてここで国家がいかにむごいかということを福岡事件を例に話してくださいました。

「西武雄が殺されたのは1975年の6月17日でした。1975年の5月20日、西武雄の処刑の1ヶ月前に画期的な再審に対する決定が出されています。白鳥決定です。その白鳥決定が出る前は再審を開くためには被告人の無実を証明する新しい証拠、これが再審の要件になるわけですが、その新しい証拠単独で被告人が無罪だとわかる証拠が出てこない限り再審は開けないといっていました。

以前は弘前事件のような真犯人が名乗り出た事件、真犯人が捕まって起訴された事件についても、『いやいやそれだけではこの有罪確定者が無罪だということは証明できないんだ』といって再審が開かれないという状況でした。

この75年の白鳥決定はその証拠単独ではなくて、新証拠というのが、もともとの有罪判決の基礎となっている証拠とあわせて考えた場合、(判決に)疑いを抱かせる程度の新証拠が見つかれば再審を開くべきだ、という決定だったんです。

これが1975年5月20日。西武雄が処刑されたのはその1ヵ月後です。
5月20日再審の門戸を広げる決定は出て、2週間後に西武雄の死刑命令書の起案が出たという事実をどうみるかということです。

『20人の真犯人を逃すともたった一人の無辜の人間を罰することなかれ』これが刑事裁判の鉄則です。

したがって刑事裁判の最も重要な使命は提出される証拠によってその本人の無罪を発見することこそが最大の使命です。

裁判員制度はそれに向けて制度を構築しているか?これははっきり否です。拙速主義、事前の争点整理によって出てくる証拠が限定される。出てくる証拠が限定されることによって、検察官と弁護士の審議が簡略化されるという可能性が出てくる。そうすると有罪認定の原資料が簡略されますから有罪判決もますます簡略せざるを得ない。

裁判員制度はその意味できわめて周到に練られた制度です。裁判員批判を封殺する。裁判員裁判という制度がまっとうなんだというふうに考えている人が国民。これに対して疑問を持っている、あるいはどこかおかしいという人は非国民だという形で市民を分断していく。

したがって『健全な国民常識を裁判に反映させて』その後なかなか引用されないんですが『規範逸脱者に対して有効な措置をすばやくとっていく』とされる裁判員裁判は、刑事裁判の性質を変えないどころか、今でも絶望的な刑事裁判の性質をされに偏向させてまさに魔女裁判に変える可能性を持っているんだと指摘しておきたいと思います」

公然わいせつ罪は裁判員裁判では確かに裁かれません。

ですが(法の精神からいって)クサナギ君はたとえ一時的であったとしても「規範逸脱者」で「有効な措置を素早く取っていく」のが逮捕なんでしょうね。。。
裁判員制度は? | permalink | comments(2) | trackbacks(1)

この記事に対するコメント

家宅捜査の件は「薬物反応が出たための措置」という噂もあり、それを急遽どこからかの圧力やら中止指示が出て30分で帰ったなどという話もありますね。噂ですが。いずれにしろ疑問の多い措置ではあります。
itabashi3chome | 2009/04/28 4:42 PM
itabashi3chomeさま
結局、起訴猶予処分でしたね。家宅捜査までしたのに。。。
いわぢろう | 2009/05/03 9:16 AM
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